リーダーのタイプと経営理念

 業績を上げている企業の特徴は、組織の目的を達成するための相応しいリーダーが存在し、メンバーのコンピテンシーも高く、かつよく動機づけられているといってよいであろう。もちろん、これらの条件が整っていれば、必ず高業績に繋がるというものではないが、こうした企業の従業員は、概して言えば仕事や職場に対する満足度も高い。
 ただし、これらの要素は何らかの括りで統合化されていることが原則であるから、よいリーダーの存在と従業員の高いコンピテンシーを融合させるリーダーシップがなければ、同じベクトルに向かって協働することはできない。これには、目的の共有だけではなく価値観や人生観なども含めた共通の思考様式も重要な要素となる。
 複数の中小企業で調査をしたところ、能力?行動と理念?成果という2つの軸でわけられた。つまり、?能力・理念型、?能力・成果型、?成果・行動型、?理念・行動型の4つのタイプでほぼ説明できたのである。調査対象企業が限られているので、これを補うため、同一の企業内における職場にも適用してみた結果である。
 ?能力・理念型は、経営者はしっかりした経営理念を持っており、社員のコンピテンシーの高さが結局は成果をもたらすと考えている。そのため、管理職もそうした尺度で選抜しているため業績は安定している。?能力・成果型は、優秀な営業マンをヘッドハンティングするなどして、短期的な成果の達成に意欲を示している。
 ?成果・行動型は、経営者が営業経験者であることが多く、プッシュ戦略をメインに戦ってきたという実績がある。?理念・行動型は、伝統的な製造業の経営者にこのタイプが多く、独特の経営哲学をもっているが、一度業績が悪化し始めると歯止めがかからず、経営革新に取り組むタイミングを逸してしまう傾向が強い。
 上記の経営者や管理者のタイプは、PM理論とはやや異なる結論のようにも見えるが、基本的なタイプは何等変わりない。しかし、中小企業の場合は、経営者の価値観によって、登用する管理者のタイプが限定されてしまうので、経営者のカラーからはみ出したリーダーシップは高く評価される余地は少ないことになる。