バランススコアカードでは、財務的視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点という4つの視点のバランスを挙げている。もちろんこれらの視点は、限定的なものではなく、企業や組織の目的によって多元的なものになることは当然であるし、バランスも均等でなければならないという必然性はない。
企業経営を前提に考えれば、財務的視点を抜きにして経営を評価することはできないから、財務の視点と非財務的視点のバランスをどの程度に見るかが、カード設計のポイントになるものと思われる。これはちょうど目標管理において設定された目標とこれによって生じる可能性があるリスクをどのように調整するかという関係に似ている。
例えば、売上高を重視した目標を設定すれば、売掛金の回収という非設定目標との調整をどのように考えるかも、目標管理制度の重要な要件の一つである。バランススコアカードの場合は、そうしたバランスを網羅した形でスコアの要件を決めるという、合理性が当初から織り込まれていることが一つの特徴である。
まず、財務と非財務とのバランスは、財務数値に表される業績だけではなく、財務以外の経営状況や経営品質(顧客満足度、業務プロセス、社員のモティベンション)なども評価する。ここでは非財務的視点としているが、短期的視点と長期的視点と捉えるべきである。つまり、これらがバランスしなければ財務目標は達せられるはずがないからだ。
次に挙げているのが時間のバランスである。財務の視点は、結果としてもたらされるものであるが、顧客の視点、業務プロセスの視点は、財務目標を達成するための視点であり、学習と成長の視点は、長期的な視点で捉える必要がある。また、社員の満足度や能力の保有(蓄積)と財務目標達成との因果関係を明らかにするバランスも求められる。
株主や顧客に対する社外的評価項目と従業員のモティベンションや業務プロセスの改善といった評価項目を組み合わせて業績の向上を図ることや利害関係者(ステークホルダー)間のバランスを保つことも重要である。すなわち、これらの視点間のバランスを保つということは、CSR経営の原点であると言い換えることができる。
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