ひとはどうして、そんなに頑張って働けるのか

 コンピテンシーが高ければ、成果に結びつく可能性は高いのは確かである。そのコンピテンシーは、社員研修によって高められる可能性もまた否定できない。しかし、企業における実際の成果は、達成に向けての行動との相関が強いこともまた事実であるとすれば、どちらがどれだけ貢献していることになるのだろうか。
 現実には保有能力が中程度以上であれば、リーダーの指揮の下でパフォーマンスを発揮する従業員の方がより高い成果をもたらすこともある。これは、「やる気度」×「能力」で表すとすれば解かりやすい。つまり、どちらかがゼロであれば、他方がどんなに優れていても成果はゼロということになるということである。
 問題はやる気がある人ない人というのは生まれつきなのか、それとも何らかの刺激により、どんな人でもやる気を起こせるのかということだ。もしも、生まれつきであるとするならば、始めからやる気がなかったわけだから、当然学習による能力の向上もないことになるので、その場合は当然採用の時点で露見してしまうのではないだろうか。
 生来の怠け者が存在したとしても、組織内における「やる気」や「能力」が問われることはめったにない。そう考えると、「やる気」を起こす素地は誰にでもあるという前提で、動機づけ方策を模索するのは正解なはずであるのに、経営者側から言わせると、煮ても焼いても食えないような言い方をされることはよくある。
 この現実を直視すると、リーダーとの相性の問題も結構大きく関わっていると考えざるを得ない。しかし、一方ではリーダーとの相性はあんまり芳しくはないのに、好業績を上げている場合もあるし、自分が何らかの理由で職場のリーダーに抜擢されたことで、水を得た魚のように生きいきとして組織の業績アップに貢献できたという例もある。
 「やる気」は条件が整わないと行動を起こす「動機」には繋がらない。例えば、やる気があって一生懸命に取り組んでいるのに、あまり報いられないと悟ってしまうと、途端に向上意欲が減退してしまい、行動に繋がる動機にならないこともある。人が頑張って働く条件を理論的に解明するにはかなりの時間とそれこそ「やる気」が必要なのだろうか。