前述の「目標設定理論」でのポイントは、リーダーシップが陰に隠れている。4つの要素は、全て職場のリーダーの対応によって左右されるものであるが、これとあい通じる理論が、リッカートの動機づけ理論である。この理論は、組織集団およびその成員の動機づけを主題にしているが、基本的な考え方は通じるところが多い。
この理論では、3つの原則を掲げているのが特徴である。第1は「支持的原則」で、組織の人間関係の中で自分が支持されているという実感を持たせる。第2は「集団的意思決定の原則」で、1人の監督者を含めた小集団が基本であり、小集団は他の集団と重層的に集まって全体組織を構成する。監督者はこの集団の連結する機能(連結ピン)を担う。
第3は「高い業績の原則」である。これはマズローの自己実現欲求に対応したものであると同時に、「目標設定理論」の第1にある目標の困難度と同じである。つまり、適度の刺激を与えることは動機づけには欠かせないということであるようだ。組織の目標である集団目標は、個人目標の総和であると考えれば、動機づけ理論であることに変わりない。
こうしてみると、高い目標を掲げることは動機づけには欠かせないものであることは理解できる。しかし、「目標設定理論」で言っている困難度とリッカートの「高い業績の原則」とでは中身と程度がかなり異なるようであるし、それに、これを受入れる従業員の状況も千差万別で一般的な基準があるわけではない。
NHKの『プロジェクトX挑戦者たち』などで取り上げられたプロジェクトに限らず、困難を極めた挑戦は数多い。これらのプロジェクトに取り組もうと意思決定した際にも、何らかの動機があったことは事実だが、期待理論でも説明はできない「執念」のようなものさえ感じられるが、ここまでくると全ての理論は説得力を失ってしまう。
ここまでの展開から浮かび上がってきたキーワードは、「意欲」「能力」「目標」「動機」「夢」「リーダーシップ」「挑戦」「状況」「適度な刺激」「参加」「尊厳」「持久力」などである。それに日本人の場合は、「義理」や「人情」も加えなければならないのかもしれない。残念ながら現時点では、武士道まで持ち出さなければ手がかりがつかめない。
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