コンピテンシーなるものの定義については、大よその検討がついたとしても、組織の成員のコンピテンシーを実際どのように測定し評価すればよいのかは全く不明である。そこで、その要素と尺度を具体的に設定したモデルを造り、実際の職場に適応できるコンピテンシーを明らかにしようという取り組みがなされている。
その代表的なものが、ボヤティーズ(1982年)が提唱している「コンピテンシーのモデル」である。これによると、全体を目標と行動の管理、リーダーシップ、人的資源管理、部下への指揮命令、他者指向、専門知識の6領域21の要素を中心にコンピテンシーを捉えている。これは一見して解かるように職務給で用いられる職務分析そのものである。
すなわち、目標と行動の管理は、効果性指向、主体性の発揮、コンセプトによる分析、影響力の関心といった、目標管理で用いられる要素をそのまま取り上げたに過ぎない。リーダーシップにしても、自信、口頭プレゼンテーション、論理的思考、概念化といったリーダーの資質要素を列挙したに過ぎないものである。
次の人的資源管理は、社会的影響力の行使、ポジティブな見方、グループ・マネジメント、正しい自己評価で、部下の指揮命令や他者指向、専門知識にしても、従来から職場のメンバーに求められている資質を系統的に取り上げただけで、あえて、新しい能力概念として取り上げ、評価する必要性は薄いようにも感じられる。
もう一つの代表的なモデルは、スペンサー=スペンサー(1993年)の「コンピテンシー・ディクショナリー」である。その具体的内容は、達成行動[達成指向、秩序・品質・正確性への関心、イニシアティブ、情報収集]、援助・対人支援[対人理解、顧客支援指向]、インパクト・対人影響力[インパクト・影響力、組織感覚、関係構築]。
管理領域[他者育成、指導、チームワークと協力、チームリーダーシップ]、知的領域[分析思考、概念的思考、技術的・専門的・管理的専門性]、個人の効果性[自己管理、自信、柔軟性、組織コミットメント]とい6領域20項目からなるものであるが、これとても、従来から行われている人事評価の要素に過ぎないのではないだろうか。
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