コンピテンシーの捉え方(定義)

 コンピテンシーとは、「関連のある知識、技能や態度のクラスター(集合)であり、職務(役割または責任)上の業績に影響を与え、職務上の業績と関連しており、よく受入れられた標準に対して測定することが可能で、トレーニングや能力開発によって改善しうるもの(Parry 1996)」となっている(組織行動の考え方:金井壽宏、高橋清著 東洋新聞社)。
 もちろんその他にも幾つかの定義があり、どれが適切なものであるかの判断はさておき、潜在的特性と固有の特性と捉えているかの違いがあるように思われる。中小企業の立場から、希望的な意味も込めて言わせてもらえば、「トレーニングや能力開発によって改善しうるもの」という定義になんとなく救われる思いがする。
 というのは、もしもこのコンピテンシーなるものが、個人に備わっている属性的なものであるとするならば、社員研修などによる教育・訓練は殆ど無駄なことになりかねないからである。つまり、潜在能力であるとするならば、多少のミスマッチがあったとしても、トレーニングに励むという動機づけになり得るからである。
 私のような中小企業をメインにしたコンサルタントにしてみれば、そこのところが科学的に解明されれば、企業に多大な機会損失を強いることもなくなるだろうし、教育訓練よりも採用時点で、そうしたコンピテンシーの有無を測定する方が手間隙を省ける。その点から言っても道半ばなのだろうと考えざるを得ない。
 ある学者の研究論文によると、好業績を上げている企業の特徴は、個々人の能力よりも組織力の強さの方が勝っているという言い方をしている。その組織が個人の集合体であるという立場をとれば、個人の能力が優れていなければ、組織力は強化されることはないという堂々巡りなってしまうのではないだろうか。
 翻って、現実の企業を観察してみると、トップのリーダーシップ、制度、従業員の能力がほどよく噛み合い、動機づけられる土壌(文化)が望ましい形で育っているところが、好業績を上げているように思われる。つまり、ある程度の素質は必要だが、これらの相乗積が最大になるようにコントロールされていることが肝要なのである。