日々進化する顧客満足?その3

 エンターティメントといえば、誰でも思い浮かぶのがオリエンタルランド(ディズニーランド)であろう。楽しさの演出にかけては超一流であるこの施設は、当然テーマパークというジャンルで見られているが、実は巨大な商業施設でもあることもよく知られている。つまり、サービス業なのか小売業なのかといった垣根は最早必要がないのである。
 旧来型の商業施設に欠けていたのは、販売施設というカテゴリーの中での充実度をますことに重点が置かれ、購買意欲のある消費者が来店してくれることを前提にした店づくりや品揃え戦略であったが、テーマパークの例に見るように、強烈なコンセプトのもと、解かりやすい情報を発信することの認識に欠けていたことを反省すべきである。
 情報は発信すれば足りるものではなく、これを受け手である消費者が正しく受け止めてくれなければ意味がない。「インフォメーション」の重要性はここにあるわけで、双方向の情報交換が確立されていることを実感できるものでなければ、本来の機能を発揮しているとはいえない。つまり、顧客の心を掴みきっていないわけである。
 しかし、そうはいうものの、双方向のコミュニケーション・システムを構築するには、かなりの費用とリードタイムが必要であることも確かである。IT化がもたらした変化は、格安の費用で大量の情報を受発信することを可能にしたが、同業者もたちまち同水準に到達してしまい、またぞろ新たな競争が繰り返されることになる。
 果たせるかな、インターネット全盛期の今日においても、ダイレクトメールや電話によるセールスは健在である。こうした状況を見ると、やはり、双方向のコミュニケーション・システムを構築しようにも、経営資源の脆弱さはどこまでもつきまとう。少なくとも中小企業者はそうした見方をしている場合が多いことは事実である。
 さらに、こうした経営資源の脆弱性に追い討ちをかける形で、「エコロジー」や「バリアフリー」などに対する取り組みも、店舗評価の重要なファクターとしてクローズアップされてきている。しかし、消費者の購買態度は流動的で、選択肢が増えれば増えるほど学習効果が蓄積されるから、小さなチャンスが生まれる土壌は常に出現するとも考えられる。