日々進化する顧客満足?その2

 顧客満足度を測定する上での東の横綱が「ホスピタリティ」であるとすれば、西の横綱は「コンビニエンス性」であろう。これは「自己解決」を基本としながらも、一方では親切な手助けを望んでいるという二面性に依拠しているからであると思われるが、このバランスを追求するのが企業に課せられた問題解決策と見ることもできる。
 ともあれ、現実の問題としてコンビニエンス・ストアの発展を目の当たりにした以上、消費者の利便性に対する欲求の強さは謙虚に認めないわけにはいかない。ハードな商品の購買場所としては、やや頭打ちになってきているという印象はあるものの、CDの設置や宅配便の受取など新たな機能も加わり、今後も進化し続けるものと思われる。
 こうした方向は、小売業などの流通業特有の傾向ではなく、製造業にも共通して言えることである。というよりも、カスタマー・ソリューションをメインテーマとしている企業にとっては、サービスの品質が顧客満足を語る上で不可欠な要件となっている。コンビニエンス性はもはや時間の節約だけを意味するものではなくなっている。
 これらの2大要素を側面から支える評価尺度としては、自主性を尊重した「セルフスタイル」ということになるであろう。消費者はこれまでの学習効果を活かし、「自己解決」を基本とした購買行動を望むであろう。ただし、これは常にセルフスタイルを望んでいるということと同じではないことは前述のとおりである。
 消費者は原則的には「自己解決」を望み、セルフスタイルで自分の世界で自由に振舞うが、いざという時のために専門知識を持ったプロに解決を委ねる。こうした安心感のある店舗(企業)を顧客満足の条件としているのであり、そのメガネにかなわなければ、どんなに品揃えが豊富でも、それだけでは不十分だと判断するであろう。
 一方消費者は、このように合理的な尺度だけで満足度を評価しているわけでもない。それはちょうど、人間が理性に基づいてだけ行動しているのではないのと同じで、時には遊び(理性からすると)も満足を充足する重要なファクターになっている。つまり、それは「エンターティメント性:楽しさ」を提供してくれるかどうかということである。