究極の顧客課題解決策

 顧客マーケティングを徹底して追及すれば、ワンツーワン・マーケティングに行き着くことになるであろう。これは、「個別対応型生産」を目指して、意図する相手と直接コミュニケートすることを可能にすることを軸とした1対1のマーケティングスタイルで、個人の志向に合わせて製品やサービスを提供することができる。
 安価な電子メディアの利用が可能になったため、消費者への直接アクセスにより、十分なコミュニケーションのもと顧客の生涯価値を獲得することを狙いとしている。すなわち、長期にわたる顧客との関係を通して実現される利潤獲得(一人の顧客と長く付き合うことで、その顧客が生涯にもたらす利潤)をメインテーマとしている。
 従来の市場に対する考え方である、「市場シェア」から「顧客シェア」へシフトした考え方が、ワンツーワン・マーケティングの基本思想である。顧客シェアを拡大するということは、自社ブランドの製品を購入した個々人の顧客が、その製品に満足して生涯にわたり、自社製品を支持し続けることを意味している。
 また、ワンツーワン・マーケティングは、顧客を個客として注目し、顧客のライフスタイルや心情に合わせ、個客が購入して現在所持している自社製品に限らず、できるだけ多くの自社製品を購入してもらうよう力を注ぐ。つまり、購買品目を増やしてもらうことで客単価を上げ、しかも、生涯わたり拡大し続けるということを狙っている。
 そのためには、個客を知ることが基本であるが、同時に自社の存立基盤を明確に示し、ロイヤリティを高める基礎づくりが何より大切である。これまでのマーケティングでは、自社製品に対するロイヤリティを高めるため、顧客層をかなり大雑把に括り、企業イメージと品質で訴求するというのが定番であった。
 現代マーケティングとは「顧客を知る競争」であるというのはこのことを意味しているわけで、ワンツーワン・マーケティングは、その意味で最適なマーケティングスタイルともいえるだろうが、プロシュマーを相手にフアンづくりを目指す以上、従来型のデータベース・マーケティングでは不十分であることを知るべきである。