小売業サポート企業の体制

 メーカー、卸売業などの小売業支援企業は、パートナーとなる小売業をよく理解することがまず必要である。具体的には、組織の運営体制や方針、商品仕入への権限委譲の状況、指示命令系統のルーチン化、業務評価システム、マーチャンダイジングポリシー、他店との差別化戦略の有効性といった経営理念やストアコンセプトに関わるものである。
 これらを確認した後、小売業の商圏を改めて調査する必要がある。既存の小売業は現在の商圏データを把握しているはずであるが、特定のカテゴリーに絞る事を前提にしているカテゴリーマネジメントでは、より詳細な競合店データが求められるからである。サポーティング企業としては、これらの情報を把握しなければサポート方針は決められない。
 見方を変えれば、小売業の経営診断を行うということになるわけだが、これに基づいてターゲットとする顧客層を再設定し、これに向けての商品供給政策を改めて打ち出すことになる。その内容の主なものは年間の販売促進計画を週単位に刻んで提示する、品揃えや棚割り、陳列方法の改善、新商品の導入・販売方法の開発、売場・什器の提案などである。
 さらに、メーカー、卸売業として市場全体、地域全体の動向や消費者ないし生活者のライフスタイルの変化などの情報を把握し、これを提供すると同時にカテゴリーマネジメント推進のためのオペレーションシステムを提示する。こうした高度な能力がメーカーや卸売業に求められるため、従来の営業中心の発想を根本的に改めなければならない。
 カテゴリーマネジメントの重要性を小売業が理解していること、これがカテゴリーマネジメント導入のカギとなることは間違いないが、実際に導入し成功に導くためには、商圏顧客の情報をデータベース化しておくことが必須の条件である。購買行動と最適カテゴリーの関係、あるいは品揃えや棚割りの関係を的確に捉えるためのデータベースである。
 カテゴリーマネジメントに限ったことではないが、市場の変化が激しい状況下にあっては、全体戦略の見直しやこれに伴う棚割の変更など、共同の現場作業が発生することが予想される。そうした場合の作業手順やメーカー、卸売業の役割分担についても双方が納得できるよう明確にしておくことも重要なポイントである。