カテゴリーマネジメントの実施?その3

 カテゴリーマネジメントを実施するに当たっての中心課題は品揃えである。適正な商品とは、消費者が自分の要求にピッタリであると感じるであろう商品を意味するわけであるから、抽象的な消費者のことではなく、特定の場所の店舗にとっての具体的な消費者である。つまり、ある小売業者が標的として選んだ市場の消費者に適合した商品である。
 店舗販売を前提にして考えれば、消費者がある商品を購入しようとするとき、もっとも購入しやすい場所を選択するであろう。小売業が一定の場所で店舗展開している場合、特定の商品を提供するうえで、有利性を発揮できることが求められる。すなわち、品揃えとアクセスの有利性をセットで考える必要があるということである。
 次に、消費者が商品を購入しようと望む時期も重要な要素である。これは特定の時間帯という意味もあるだろうし、季節やイベントなどにも関係があるため、販売と仕入のタイム・ラグを考慮したマーチャンダイジング(カテゴリーマネジメント)を実施するうえで、適正な数量とともに商品在庫投資に関わる問題である。
 最後に価格設定についてであるが、適正な価格とはターゲットとする顧客がある商品を購入するに当たって、十分に納得して支払う価格であり、必ずしも低価格を意味するわけではないが、仕入れ価格が土台となっていることは確かなので、競争力のある価格設定ができるよう努力するのは基本であることはいうまでもない。
 これらのマーチャンダイジング5つの適正は、有機的に結合して総合的にプロデュースされなければ、ターゲットとする対象顧客に伝わらないこともあり得る。そうした意味からすると、これをビジュアルに表現するために、商品の陳列場所、陳列スペース、陳列棚の位置、商品群の括り(細分化されたカテゴリー)も考慮する必要がある。
 さらに、これらのカテゴリー戦術の総仕上げとして、インストア・プロモーションにより店舗イメージを高め、購入意欲を高めるため消費者に積極的に働きかけなければならない。これはいわゆる情報提供活動であるが、具体的には、チラシ、バンドル販売、POP、デモ販売、特売、クーポン、サンプリングなどがこれにあたる。