カテゴリーマネジメント導入のポイント

 カテゴリーマネジメントは、小売戦略をより高度化させることを狙った戦略手法であるから、企業ごとに異なるのは当然であるが、メーカーや卸売業にとっては、カテゴリーマネジメント手法を標準化することで汎用性のあるものにしたいと考えている。したがって、小売業は戦略カテゴリーを設定し、通常は1社のメーカーないし卸売業を選定する。
 カテゴリーマネジメントの協力は大規模チェーンの場合はメーカーに、中小規模の場合は、卸売業に依頼することが多い。パートナーに選ばれるのは、カテゴリー内の強力なブランドをもっているか、地域におけるシェアが高いことが条件となる。何故ならば、戦略カテゴリーの地域シェアをさらに高めることを目指す戦略であるからである。
 競合店からシェアを奪うためには、品揃え、価格、鮮度などの訴求力を高めることで、差別化のポイントを明確にしなければならない。そのためには、小売業とパートナーの間で、カテゴリーに関する販売データやマーケット情報、売場情報などを共有することが不可欠である。つまり、目的と情報を共有することが絶対条件である。
 メーカーや卸売業の責任は、自社製品の売上げを伸ばすことではなく、パートナーである小売業のカテゴリー全体の売上高、総利益の拡大に貢献することを目的にしているため、場合によっては、他社製品の陳列スペースを拡大するような提案もあり得るわけである。当然のその結果がメーカーの利益にも繋がることになる。
 パートナーであるメーカーがサポートするという背景には、小売業とメーカーの双方にとって最終的な目的が同じであるという大前提があるわけであるから、小売業がカテゴリーの販売力をもたなければ、パートナーとして協力する意味がないので、カテゴリーマネジメント導入以前に、小売業としてのカテゴリー戦略を策定しなければならない。
 いずれにしても、メーカーや卸売業のサポートが不可欠であることには変わりはなく、パートナーとの関係が深い相互理解に支えられていなければ、双方の思惑の違いや短期的な利益志向など、微妙な違いが不信感を募らせることになりかねないので、まず、双方の経営理念を十分に確認しておくことから始めなければならない。