カテゴリーマネジメントの基本原則

 カテゴリーマネジメントに基づく、インストアマーチャンダイジング活動は競合店との差別化を狙ったものである。マーチャンダイジングは流通業のマーケティング活動と位置づけられるが、米国のウォルマート・ストアーズをはじめとする巨大小売業の台頭により、インストアマーチャンダイジング活動にメーカーも参加せざるを得なくなった。
 メーカーは旧来型の店舗改装や販売促進支援、展示などへの労務提供では、もはやカテゴリーリーダーの役割を果たすことができなくなり、小売店の販売戦略に直接関わることで貴重な店頭販売データを入手する。こうしたギブ&テークが当然のこととして認識されるようになり、これをシステム化したものがカテゴリーマネジメントである。
 ウォルマートの本社があるアーカンソー州ベントンビルにはメーカーの社員が数百人規模で駐在し、ウォルマートの販売戦略を支援している。メーカーは小売業に頭脳労働を提供し、その見返りとして店頭情報を得ている。このように、流通のデータ活用を可能にすることでメーカーのマーケティング力も飛躍的に向上している。
 マーチャンダイジングは小売業の店舗で展開されるため、メーカーとの相互関係を築きことで、双方の専門知識を活用して成果を上げるカテゴリーマネジメントが注目されているが、業種の異なる複数の企業が介在することで成り立つカテゴリーマネジメントは、何らかの基本原則というものがなければならない。
 ?カテゴリーを戦略的ビジネス単位とする、?カテゴリーを戦略的に管理する、?カテゴリーマネジャーは会社の資産(店舗スペース、在庫など)をコントロールする、?資産に対する収益を測定して優先順位を決定する、?カテゴリーの成果と責任は明確に定義されている、?小売業、メーカーともに単独では職務を遂行できない、などである。
 これらの基本原則に則って、カテゴリーマネジメントの実施局面に移るわけであるが、カテゴリーの具体的名称を定義し、カテゴリーの役割、カテゴリーの評価、カテゴリーの目標・実績評価、カテゴリー戦略、カテゴリー戦術、実施プランの策定など多くのプロセスを経ることになるので、自社の現状分析による評価は特に重要である。