カテゴリーマネジメント?その2

 小売業にとって顧客にどのカテゴリーを提供し、しかも自社を指名してもらえるかが戦略的課題である。つまり、自社が設定している商圏内において、どのカテゴリーを得意としているか、そしてどの商品カテゴリーでドミナントを形成しようとしているか、競合店に対して差別的優位性を発揮しようとしているかを明確に打ち出さなければならない。
 小売業の商品カテゴリーは単品ではないので、売場構成の概念よりやや狭い単位である。例えば、売場構成で言えば食料品売場に位置するパンや肉といった単位がカテゴリーと呼ばれるものである。品揃えや売り方が競合店に対して圧倒的に差別化されたものであるが、全てのカテゴリーについてドミナントを形成することは困難である。
 したがって、自店が得意とするカテゴリーについて商圏内の顧客に圧倒的な支持を得るような戦略が現実的である。小売業がこのようなカテゴリードミナント戦略を推進するためには、商圏内の顧客ニーズの把握と価格戦略がメインの課題となるほか、差別化商品やサービスの開発、売場づくり、販売方法、販売促進企画なども必要となる。
 また、棚割りや在庫管理方法も開発しなければならないので、小売業単独では困難な場合も予想されるが、そうした場合は、卸売業やメーカーと共同でカテゴリーマネジメントに取り組むことも検討すべきである。いずれにしても、商圏内の事情や消費者の特性を熟知している小売業経営者の理念が基本となることは間違いない。
 カテゴリーユニットの開発およびカテゴリーマネジメントをしっかり捉えるためには、商品ミックス計画との関係を明確に押さえておく必要がある。商品ミックスとは、企業が販売のために提供する種々の商品の全体であり、顧客ないし消費者に提供される適切な組み合わせである。つまり、商品ラインと商品アイテムの適切な組み合わせからなる。
 商品ライン(商品系列)とは関連する商品グループであり、商品アイテムは(商品品目)とは商品ラインを構成する特定の商品であるから、その商品ラインの内外の他の商品とはっきり区別される個々の商品である。したがって、商品ラインのサブシステムに位置づけられるカテゴリーは、より限定されたものであるということになる。