カテゴリーマネジメント?その1

 3回にわたって、フルライン化を志向するチェーンストアの動きを見てきたが、中小小売業にも共通する部分も見られる一方、ストアコンセプトの設定の仕方によっては、十分存立基盤を確保できる余地があることも確認できた。すなわち、商業施設はカテゴリーユニットの組み合わせと捉えれば、ラインが狭くアイテムは深い中小店の基盤はある。
 しかし、現実には中小小売店が生き残るためには、スクラップ&ビルドは欠かせないことはいうまでもことであるが、この場合のキーワードは、カテゴリーユニットの開発とカテゴリーマネジメントということになるであろう。そこで、今回はこの2つに焦点を当てて、中小商店の存立基盤を検証してみることとする。
 生活者ニーズが高度化すればするほど、TPOS分類とモノ分類をクロスさせたカテゴリーユニットの開発が多様化してくる。100円ショップのダイソーや無印良品、ユニクロなども一種のカテゴリーユニットと捉えることができる。
 商業施設はカテゴリーユニットの組み合わせであると述べたが、その意味はデパートやショッピングセンター、専門店ビル、アウトレットモールなどの新しい商業施設は、新たに開発されたカテゴリーユニットの組み合わせであるということである。既にデパートやGMSはユニクロや100円ショップなどをテナントとして誘致するなど、従来には見られなかった動きが活発化してスクラップ&ビルドが加速している。
 それだけ生活者のニーズの変化が激しいのか、業態間の競争が激しいのかは定かではないが、消費者のニーズが多様化しているという事実を反映していることは確かである。それに伴い立地環境も変化してきている。こうした現象は、交通の利便性という尺度を越えたカテゴリーユニットの提供の仕方そのものであると見るべきであることを示している。
 これを消費者側からみれば、まだまだ満たされないニーズが山積しているということであり、従来のようにハード面のモノの提供と位置づけていた基本コンセプトが180度パラダイムチェンジしたとも考えられるわけであるから、小ロットではあるが特定の深いニーズを対象とするカテゴリーユニットの開発は中小商店活性化のチャンスである。