消費財メーカーが新製品を開発する場合、新製品のタイプは、市場にとって斬新なものであるか、あるいは企業にとって新しいかという基準によって分けられる。市場にとっても企業にとっても新しい製品は少数派で、その多くは現市場に新たに参加する、自社ラインの補強、現製品の性能アップ、リポジショニング、低コスト製品の導入などである。
しかし、小売業の商品開発は、基本的にはリーズブル価格とアソートメントの提供にあるから、メーカーが目指すマーケティング・コンセプトとは必ずしも一致するとは限らないことを前提にしている。であるからこそ、最終的には統合化されたマーケティングに沿うよう調整する小売業の役割が重要なわけである。
メーカーが提示する交換価値と消費者が求める使用価値が市場で望ましい均衡を保つためには、まず、消費者が認知する使用価値に対する評価(交換価値)が一つの目安になるため、かつてメーカーが志向していたコスト・プラス法による価格設定は機能しなくなっている。つまり、売り得る価格が交換価値でなければ市場に存在することはできない。
そのため、売り得る価格=購買許容価格という公式が成り立つ限度で、商品を企画し開発するというのが、小売業の商品開発の特徴である。たとえば、100円ショップの「ダイソー」では、それまで主流であったコスト・プラス法という考え方から脱皮し、消費者がこの価格なら買ってもいいと思う価格をまず設定する。
これに合わせて製造コストあるいは仕入れ価格を逆算する。つまり、後付けする形で調整するという手法をとっている。かつてスーパーマーケットがオレンジジュースを開発したプロセスも同様の考え方によるものである。これらの発想は、インターネットの逆オクションなどにもみられるなど、原価に対する考え方が全く変わってきた証拠である。
もう一つの流れは、消費者の生活シーンに合わせたもの、横断的なアソートメントないしクラスター性の提供である。前者の例は、「無印良品」のように実質を重んじたPB商品にこだわり、無駄な包装や着色などを徹底して排除して低価格と実質的な機能を提供している。後者は、ファッションをトータルでコーディネートするなどがそれである。
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