小売業はメーカーではないから、ターゲットとする顧客のニーズにマッチした商品を顧客に代わって仕入れることが基本である。つまり、購買代理人としての立場を貫くためには、国内だけではなく、ワールドワイドな産地やメーカーから商品を探し出し、適正な単位で供給できるようにすることが商品開発の基本である。
しかし、そうした努力にも関わらず、そうした商品が見つからない場合は、自らの企画により、顧客のニーズにあった商品の製造や企画変更をメーカーに要請するという形で行われることもある。いわゆるプライベート・ブランドなどはこれに類するものであるが、商の原点はあくまでも購買代人の立場を貫くことにある。
顧客の既存商品に対する不満は、「価格」「鮮度」「品質」「容量」「サイズ」などが一般的であるから、小売業の商品開発は現実的に低価格の実現に主眼がおかれるであろう。こうした取り組みから生まれた商品も数多く、原材料の調達と製造技術を組み合わせたグローバルな商品開発が展開され、その動きはますます加速しつつある。
メーカー側からの発想では、まず「価格ありき」の商品開発には多少異論もあるかもしれないが、小売業のバイイングパワーの源は消費者の支持によって裏打ちされているので、この場合の適正価格は、「売り得る価格」を把握しきっている小売業が示した価格を尊重せざるを得ないので、これを可能にする仕様を前提に製造コストを考えなければならない。
すなわち、この段階ではメーカーが製品開発する場合のテストマーケティングが終了した段階と同レベルにあるか、もしくはそれ以上に消費者情報を得ているので、一見乱暴なように見える「価格ありき」の商品開発になるのであり、コスト・プラス法的な考え方とは全く次元が違うことに注意しなければならない。
今日、大規模小売業が流通チャネルのキャプテンとして絶大な地位を築き上げたのも、エンドユーザーである消費者に一番近いというポジションにあるためで、メーカーとしてもここから得られる情報を活用することの方が、結果的に自社のマーケティング総費用を節約できるメリットの方がはるかに大きいとも考えられる。
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