パイプラインの変化チェック

 流通政策では製品の適正在庫をどの程度に設定するかは、財務計画との兼ね合いもあり安定と効率の両面から検討しなければならないが、消費者の利便性を無視することはできない以上、市場在庫という視点からは経済的合理性が決め手になる。しかし、流通チャネル政策あるいは商慣習、販売政策によっても役割が異なる。
 自社が生産財や耐久消費財メーカーである場合は、業界における卸売機能のインフラがどの程度整備されているかによって、需給調整機能の柔軟性が異なるが、製造小売という業態も珍しくない現在においては、パイプラインの変化は劇的で消費者の購買行動ないし反応が直接在庫の増加(縮小)に影響を与えることになる。
 いずれにしても、適正在庫は企業の側からみた運転資金効率と消費者の側からの利便性という二律背反の関係をどのように調整するかという妥協によって決められる。具体的には売上高の変化と在庫の変化を数量・金額で管理し、経験則により仮設定された数値を元に変動する要因を分析することで調整するしかない。
 企業の現場で財務部門(経営者)と販売部門のコンフリクトが発生するのはこの部分に多い。すなわち、販売部門は在庫調整が過剰になると、販売機会損失がおきるので安全在庫は崩せないと主張するが、経営の側からすると在庫調整が甘くなると、正味運転資本が減少するので金利負担が経常利益を圧迫するという議論である。
 これらの主張はそれぞれ一理あるため、どちらの主張が正しいとは判断できないわけであるが、こうした論争は企業の現場だけではなく、税金とサービスの関係などにも見られるように巷にあふれている。したがって、あるべき姿がどのように設定されているか、そして、それと現状とのギップはどの程度なのかという議論でなければ決着が付かない。
 もっとも、この場合計画自体があるべき姿であるかどうかは保証の限りではないので、結局は市場の変化に着目して、トレンドの変化や場合によってはパラダイムチェンジしていることに対する認識を深めなければならない。これらの変化は、定性的であるために一層判断を困難にしているが、表われた現象は全て数値で捉えることができる。