会計年度内の購入頻度チェック

 購入頻度とはブランド・ロイヤリティを示すものであるが、水面下ではブランド・スイッチがかなり活発に行われている可能性がある。メーカーは技術革新を駆使し一旦製品差別化に成功すると、開発費の回収意識もあるせいか消費者の満たされていないニーズを追い求めるマインドが低下し、ブランド・スイッチ率の変化に対する注意力が散漫になる。
 高額の耐久消費財の場合は、消費者の立場としてもブランドをスイッチすることのリスクを考えると、価格もそれ程変わりなく製品がもたらす便益も同程度であれば、一旦購買したブランドにしがみついている方が安全であると判断する可能性が高い。事実、アフターサービスなどの点では、期待水準が測定できるという強力なメリットがある。
 ブランド・スイッチ率が現実の知覚品質との乖離率とかなり差があるのは、カメラやVTRなどでも経験済みのように、一旦あるブランド製品を選択し購買してしまうと、ブランド・スイッチすることによって得られる便益より、埋没してしまうコストがはるかに大きいことが明らかな場合、ブランド・スイッチをためらうことになるからである。
 企業経営は矛盾に満ちているものである。一方では、他社製品からのブランド・スイッチを望みながら、他方では自社製品から他社製品へのスイッチを防止する戦略を打たなければならないわけであるが、これを決定するのは、企業ではなく消費者であるからなお厄介である。この矛盾を最小にするのがマーケティング戦略である。
 投資額とこれにより得られることが期待される売上高や利益は、設定されたSBUの規模や業界の枠組みによって決定される。自社のマーケティング力を活用してこのパイをどれだけ多く獲得できるかという問題に絞って考えれば、リピートを決める消費者の心理を理解することは疎かにできない販売促進上の課題である。
 購入頻度を単にチェックするだけでは何の対策にもならない。近年はデータベース・マーケティングを実施または検討している企業は多いが、収集したデータを十分に活用されていないことも多いようである。これは、新規顧客の獲得および顧客の維持による収支(カスタマー・エクイティ)の考え方が欠落している場合に多いようである。