流通?活動監査その5

 ここでいう流通とは、流通チャネルのことであるから、流通に関する活動監査は、マーケティング目標達成のためのミックス戦略における、流通チャネルの選択の妥当性を問題にしていると見るべきであろう。しかし、流通チャネルの選択は市場へのアクセスの容易性ばかりではなく、マーケティング戦略の枠組み全体にかかわる問題でもある。
 生産から消費にいたる生産物の社会的移転を円滑にする役割を意味する流通は、社会的分業や専門化により発生する生産ないし供給と消費者需要の間の社会経済的懸隔、具体的には、空間的・時間的懸隔、情報的懸隔、価格的懸隔、所有的懸隔、品揃え懸隔を調整し、結合することで経済的価値を創造するための活動を内容としている。
 生産物が生産者や農家の倉庫に保管されているだけでは、その生産物は価値を実現したことにはならないから、合理的な方法でそれを必要とするエンドユーザーの手に渡り使用・消費されて、はじめて価値を生み出すのである。このように流通の本質は需給の調整と適合にあるので、マーケティング上もこうした視点からの評価が必要である。
 生産と消費の間で円滑な再生産循環を確立するためには、需給調整が適切であることはもちろん、これに付随する全ての機能が流通機能を担うということになる。具体的には、主体的な権利(使用権や所有権)の移転を担う取引流通機能(商的流通)、権利の移転に伴い生じる取引対象物の空間的・時間的移転を担う物的流通機能が中核的なものである。
 さらに、これらを円滑に推進するための情報流通機能も近年益々重要視されている。さらに、これらの諸機能をサポートしている間接的機能が流通金融(金融機能)と危険負担を内容とする補助的流通機能(在庫機能)である。こうした機能を担っていることを前提として、流通経路を選択しているかどうかが問われるわけである。
 中小企業の場合は、こうした流通経路ないし機能の中で、チャネル・キャプテンとしてのポジションに立てることは稀であると思われるが、だからといって、この流れに沿うだけではなく、それぞれの業種・業態あるいは取扱い製品の性質によって、より適正なチャネルを選択する努力は最低限必要であることを忘れてはならない。