価格の引き下げによってシェアを伸ばす価格競争は、品質やサービスを低下させ結果的に消費者の利益おも害することになることは、過去の経験からよく知られていることである。したがって、今日では価格以外の品質、サービス、製品開発などによる非価格競争が主流になっているが、価格戦略が重要性を失ったわけではない。
新製品を開発した場合や生産・需要の条件が変化した場合、どのような対応策をとるべきかが問題になるが、価格戦略は製品の限界利益にかかわるだけに、品質、サービス、広告、販売促進、原材料の調達、物流にまで影響する極めて重大な問題である。価格戦略のタイプは、生産と需要の条件によって3つに分けられる。
一つは低価格政策である。この政策は、需要の価格弾力性が大きく、量産することにより生産コストの低減が可能になる場合には有利である。二つ目は高価格政策で、需要の価格弾力性が小さく、多品種少量生産で量産によってコストの低減が図れない商品の場合である。三つ目は、おとり価格政策で特定の商品を犠牲にして安さを強調する政策である。
また、価格戦略は、需要志向型か費用志向型かに分けられることもある。需要志向型価格政策は、平均原価ではなく限界原価によって価格を決定する政策である。例えば、不況時などに需要が減退し操業度が低下すると、限界原価が平均原価を下回った場合、限界原価で価格を決めることによって追加需要を刺激することで操業度の回復を狙う。
一方の費用志向型価格政策は、需要の動向ではなく費用を基礎として、価格を決定する価格政策であり、これにはさらに次の二つがある。まず、満足利潤志向型価格政策は、達成可能な正常操業度における製品の全部原価を算定し、それに満足利潤としての目標利益率をかけて価格決定を行うという一種の不確実性回避政策である。
もう一つは、粗利益志向型価格政策で、流通業界において一般にとられている政策である。それは仕入原価に一定のマークアップ率をかけて販売価格を決定するもので、商品回転率が速い場合は粗利益率を低く抑えて顧客を誘引し、さらに商品回転率を高める。逆の場合は粗利益率を高くして高い粗利益の獲得を目指す。
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