アンゾフは、企業の成長図式として成長ベクトルという枠組みを示し、事業と市場の既・新によって分類することにより4つの戦略類型ができるが、企業が長期的な成長を遂げるためには、この4つの戦略の組み合わせが必要であるとしている。もちろん、これは企業の現在及び将来にわたる市場地位、保有資源などによって異なる。
まず、市場浸透戦略は既存の製品と既存の市場で成長を果たそうとする場合、市場需要の成長力がまだ衰えていないということが前提である。市場需要の成長力を高めるには、市場需要の掘り起こしと拡大を図らなければならない。市場需要の掘り起こしとは、当該市場における製品の利用者の数を増やすことであり、顧客層の拡大を図ることである。
具体例で言うと、こども向けに開発された漫画フアン層を大人にまで拡大するなどであるが、もう一つは、拡大した顧客一人当たり使用量を拡大する方策を講じることである。壊れやすい魔法瓶のガラスをステンレスに変えることで使用率を上げる、あるいはビールなどのビンをアルミ缶に変えるなどがそれである。
この戦略のよって立つ根拠は、ある一定の基準でセグメントされた市場内において、総需要を最大にすることであるから、新製品を導入することまでは範疇に入らない。したがって、選択できる戦術は、もっぱら顧客機能の拡大と既存製品のユーザーを軸とした品質改良などが主なものになるため、拡大のための追加コストとの兼ね合いが重要である。
特に顧客機能の増加には、クレジット機能の付加などマーケティング費用も膨大なものになる可能性も高いから、全体の市場規模を測定する場合は、利益の極大化のための評価軸を明確にしておかなければ、他の戦略への転換時期を逸してしまうこともある。また、市場におけるポジションによってもとり得る戦略は制約を受ける。
経営資源が脆弱な場合は、どうしても既存市場にしがみつき、撤退あるいは転換時期を遅らせてしまい、ますます身動きができなくなるというケースも多く見られることから、製品のライフサイクルやポジションを定期的に測定し直すことが肝要であるが、遅れることでけがの功名よろしく、独占企業に変身することもあり得る。
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