競争環境の変化?業界全体の競争の枠組み?環境監査その8?2

 集中度が当該業界の現在の競争状況を記述するのに対し、参入障壁は現在および未来の競争状況を規定するものである。その第一の障壁が規模の経済性であるが、これは、生産規模の拡大がそれ以上の割合でアウトプットを増大させるため、このような規模の経済性がある業界では、大規模生産が常態化していると考えられる。
 したがって、新規参入を目指している企業にとっては大きなハンデキャップとなる。逆に言うと生産財や耐久消費財業界では、参入障壁を築いているということになるわけである。次に重要なことは、新規参入のために必要な生産設備や販売組織の整備などに要する初期投資の負担の問題である。もしも、ある企業が他の分野に進出しようとすれば、新規の投資負担ばかりではなく、埋没コストも意識しなければならない。
 製品差別化の現状も参入障壁として大きくのしかかってくる。品質やイメージ、付加的サービスなどで武装されている業界に対して新規参入を企てる場合は、ブランド・ロイヤリティ、ブランドの知名度、知覚品質、ブランド連想などで構成されるブランド・エクイティを打ち崩せるだけのインパクトが必要になる。
 流通チャネルの確立もまた一大課題である。かつて、日本の自動車メーカーの販売会社システムが、GMなどのビッグ・スリーが日本市場への参入を阻止する非関税障壁であるとして、猛烈に抗議されたことがあったくらいで、販売チャネルを確保することは、特に消費財産業の場合は、新規参入企業にとって大きな参入障壁となっている。
 次は特許の問題である。製造技術などが排他的に所有されている場合は、その業界に参入することは困難である。本来特許は参入阻止を目的としているものだけではなく、むしろ積極的に公開し、デファクト・スタンダード(事実上の標準)の獲得を目指したり、特許を相互に利用するクロスライセンス契約を締結するなどの戦略もある。
 法的・行政的規制も新規参入を妨げる元凶の一つと見られている。国際競争力を強化するためあるいは中小企業を保護する目的で、多くの許可制や認可制も数多く存在し、それが新規参入の妨げになっている場合もある。酒税法などがその典型的なものであるが、グローバル化の流れに抗しきれず、規制緩和の動きが加速しつつある。