業界の構造を分析する枠組みとしては、ミクロ経済学の応用分野としての産業構造論がある。ベイン(J.S. Bain)によって体系化された伝統的な産業組織論では、市場構造(Structure)→市場行動(conduct)→市場成果(performance)という3つの基本理念(SPCパラダイム)を理論的支柱として業界の特徴が分析される。
すなわち、市場構造(集中度・参入障壁・製品差別化など)が市場行動(原価政策・製品政策・広告政策など)を規定し、それがまた逆に市場成果(効率性の指標としての利潤など)を規定するという反作用面をもつというものである。
もちろん、このSPCパラダイムの因果連鎖がすべて実証されているわけではなく、「構造→成果」に関する集中度?利潤率仮説(寡占的産業の平均利潤率が競争的産業の利潤率よりもたかくなるという仮説)など、一部の実証結果が出ているにとどまっているが、そこで蓄積された研究は、業界の分析を試みるうえで非情に有用なものである。
ここである業界(産業)の集中度とは、当該業界の売上高に集中している場合のことであり、メーカーによる独占度の指標である。ある業界が経済学でいう完全競争の状態で、小規模の企業が無数にあるなら、激しい競争の結果、超過利潤はゼロになるが、反対に独占状態で業界1社しかないならば、競争は存在せず、独占により利潤が極大になる。
このように、業界を構成する企業の多寡や大小は企業の競争状態を規定する最も基本的な要因であり、それを測定するのが集中度である。この集中度の代表的な測定指標としては、上位何社集中度がある。例えば、代表的な消費財における上位3社集中度などがそれである。業界により集中度がかなり異なっていることが確認されている。
そのため、同じトップ企業、同じ2番手企業といっても、その置かれている競争的状況は大きく異なるから、業界の集中度を押さえることが先決である。産業組織論では、このように集中度?利潤率仮説に関する研究が多いが、その他、集中度と広告の関係の分析や、集中度とPBの関係の研究などがあるが、マーケティングに有用なのは後者である。
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