科学技術分野の発展は目覚しく、コンピュータやインターネットばかりではなく、ナノテクノロジーやロボット、バイオテクノロジーなどにも裾野が広がり、今後はさらに拡大される可能性が高い。こうした複雑で幅広い環境変化のなかで、単独の企業がマーケティング機会を的確に捉えることは極めて困難である。
一方大学などの研究者は、研究成果の実用化に関心が薄いことが多いといわれ、有用な知識が研究組織に死蔵されたままになっているケースが多い。そこで、TLO(技術移転機関)が研究者の成果を特許化したり、製品開発に利用する企業を探すなどの斡旋を行う。また、企業化に成功した際にロイヤリティを受け取って機関や個人に配当する。
現在のところそれ程大きな実績はないが、大学等技術移転促進法に基づいて、大学あるいは大学を中核とした地方にTLOが設置され、2006年4月の段階で45の組織が承認・認定されており、TLOは大学の知的財産本部の活動に融合され、知的財産戦略の一部を担う方向に向かっているなど今後の活用が期待されている。
しかし、こうした技術(シーズ)の変化は、膨大なR&D費用を発生させる一方、短期化する技術のライフサイクルという問題にも迅速に対応しなければならないため、技術と市場を同時に成長させる市場育成型の組織戦略が必要になってくる。つまり、研究?開発?生産?販売という従来型のモデルでは対応できにくくなりつつある。
有望な市場が予測できない現在社会では、技術革新により新たな市場や産業を想像する革新的企業の組織戦略とは何か。これを中心テーマとした戦略は、消費者やユーザー、他企業までも巻き込んだ試行錯誤に敢えて挑戦する姿勢が求められる。技術と市場を想像するイノベーションメカニズムが必要であるといわれる由縁である。
したがって、当然その背後にはロジェスティクスや生産性向上の技術革新が包含されていることが前提であるが、新しいマーケティング組織は強力にコンセプトを打ち出し、技術と市場を育成するという従来にはなかった組織戦略であることが求められる。すなわち、技術の創造から産業の創造へ転換する姿勢がなければならない。
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