企業経営は、仮説?検証モデルを回すことであるとすれば、マーケティング活動もまた「仮説」「実行」「検証」のサイクルを回す形で行われる。したがって、マーケティング活動が効果的に実施されているかどうかを監査するということは、単なる結果のレビューではなく、節目ふしめで計画と実績の差異分析を行い必要な是正措置を講じることである。
つまり、費用対効果を測定することでマーケティングに費やされた費用とその効果を測定し、マーケティング活動が適正に実施されているかどうかを判断して、新たな仮説に基づいてマーケティング戦略ないし戦術を再構築するものであるから、会計監査とは異質なもので、結果を評価すれば足りるというものではない。
マーケティング活動とは、製品や地域、顧客(タイプ)ごとに設けられた販売組織を、効果的かつ効率的に運用することであるとすれば、目標とする売上や利益が獲得できなかった場合、この仕組みないし活動に何らかの欠陥があったことになるのだが、一般にはそうした思考様式が確立されていないことが意外に多い。
例えば、食品加工業などの場合でいうと、かつての四分の一程度に売上が落ち込んでいる企業もかなりあるが、これを需要の落ち込みだけで説明しようとしている。市場全体の規模がそれほど縮小していないのに、自社の売上が激減しているということは、マーケティング活動に欠陥があったと反省するのが当然である。
すなわち、マーケティングの原点は、顧客ないし市場が求めるものを探り出し、自社の独自能力を対応させることで、顧客満足を高めることにあるわけであるから、売上が減少したということは、自社の提供する製品ばかりではなく、トータルとしての顧客満足度が、相対的に低下したと考えざるを得ないのである。
このように、製品自体、品質、価格、提供方法(流通経路)、付帯サービスなどで、顧客志向に適合したマーケティング活動がなされていないことに原因があったはずなのに、何等の対策も採られていないのは何故なのだろうか。これらの原因を探索する仕組みをつくり、効果的に運用することを目指すのが、マーケティング監査制度の意義である。
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