前稿の記述は企業が経営のために投下した資本を回収するという立場から、問題解決を捉えた議論であったが、実は企業経営の根幹にかかわる問題解決は別にある。それは、消費者の視点に立って現状を分析するという問題解決に関わる問題である。つまり、消費者が現在の商品で満たされていないニーズを探ることが経営の原点なのである。
消費者の立場での問題解決は、あるべき姿ではないにしても、かくありたいと願っている水準と現状との間に存在する不満(満たされないニーズ)を消費者の問題と位置づけ、この解決を図ることが企業の使命であると考えれば、まず、このギャップ埋める機能が自社の製品コンセプトでなければならないわけである。
ということは既にこの時点で、マーケティング・リサーチが必要なわけで、どのように改善すれば、あるいは価格を改定すれば購買を決意するかについて調査しなければならない。その結果を踏まえて経営計画を立てるという手順になるのだから、計画の統制局面では、当然この点の仮説の検証も包含されていることになるわけである。
すなわち、計画と実績の差異分析の段階では、計画通りの数値目標が達成されなかった場合、何よりもまず消費者が自社の商品を支持しなかった理由を明らかにすべきであるのに、営業努力が足りないなどという内向きの議論に終始してしまい、「次はがんばろう」という掛け声で現状分析(差異分析)が終了してしまっている。
「企業経営とは問題解決の手段である」といっているのはそういう意味なのである。したがって、経営不振の原因が初期段階の問題解決姿勢にあるとすれば、どんなに優れた分析ツールを手に入れたとしても好結果は期待できない。つまり、消費者の問題解決の手段としての当社の製品があるべき姿であるという仮説がない。
こうした状況下では必要とするデータが何であるかは話題にもならないわけで、差異分析をしようにも、あるべき姿が定まっていないので、種々雑多なデータの中に有用なデータが埋もれている。こうした反省点をしっかり踏まえて経営の再構築に挑まなければ、どんなに問題解決に前向きであったとしても徒労に帰してしまう。
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