企業経営とは問題解決の手段である?その3

 経営計画を一つの仮説と捉えれば、差異分析などの現状分析は正しく仮説の検証ということになるから、もしそこに差異が生じていたとすれば、消費者が望む価値と企業が提供した交換価値の間にギャップがあるということを意味していることになるわけで、問題解決的にいえば、このギャップが何であるかを明らかにするのが分析の機能である。
 このギャップはまず目標売上高あるいは目標利益が、実績とどの程度の差異が生じているかという形で顕在化する。この原因を品質、価格、あるいはマーケティング上の問題などにブレークダウンして検証してみることになるが、必ずしも定量的なデータだけからは把握しづらい要因も多く含まれていると思われる。
 しかし、多変量解析などを駆使すれば、定量的データのなかから定性的な情報を取り出すことはある程度可能になってきているので、まず定量分析をしっかり行うことが肝要である。このとき留意しなければならないことは、あまり細かいデータに拘りすぎると全体が見えなくなってしまう虞があるので、全体から部分へという原則を設けるべきである。
 具体的には、顧客(市場)、競合企業、自社という3つのフレームでバランスよく情報をとり、必要に応じて掘り下げるという手法である。競合企業にのみに関心が集中しすぎると、市場ニーズの変化が見えなくなるし、自社の強み弱み分析にのめりこむと、今度は恣意的になり客観性が疎外されることになってしまう。
 顧客ニーズにしても、その変化は消費者独自の変化というよりは、競合業者のマーケティング展開による変化であることも十分予想されるからである。つまり、当初の経営計画に盛り込んだ仮説の根拠になっているデータの精度を検証することでもあるので、このデータがどのような理由で仮説の構築に寄与しなかったかを分析する。
 このポイントを押さえていれば、そのポイントの差異が生じた原因を特定するのはそれ程困難ではないはずである。この仕組みをつくることが中小企業にとっての業務監査(マーケティング監査)であると位置づけたいものである。これはいわゆる会計監査とは異なり、企業のゴーイングコンサーンにかかわる中核的マネジメントではないだろうか。