中小企業の問題発生メカニズムの検証?その6

 情報収集が先かそれとも行動が先かといわれれば、闇雲に行動することは危険であるという理由で、情報収集が先であると答える人は多いかもしれないが、そもそも、何のために情報が必要かという問いの本筋を考えれば、何をしたいかという構想がまずなれば情報収集への意欲もわかないという論理もまた捨てがたいものがある。
 こうした議論になると鶏と卵のような論争になるので、力でねじ伏せても意味がないであろうが、構想の土台が情報によって支えられているとしても、基本理念は起業行動に先行して芽生えるものである以上、あるべき姿は経営理念を具体的に表現したものであることは間違いないのだから、この段階であるべき姿がまず確立されていることになる。
 いずれにしても、経営活動は計画?組織?動機づけ?実施?統制というサイクルを繰り返す以上、統制の段階を終着点と捉えるか、次の計画の出発点と捉えるかという考え方の違いだけであり、どこが最初で最後かという議論はあまり意味がないように思われる。要は計画策定の時点では将来のあるべき姿を描いていると見るべきである。
 そうした考え方に立てば、経営活動が実際に動き出した時点であるべき姿との乖離が生じつつあるといっても過言ではないから、現状分析に基づく修正は常にあり得ると見るべきである。その時点で必要な情報(データ)こそが差異分析に活用されるべきものであり、このことを重く受け止めなければならないという認識が不足している。
 すなわち、計画の進捗状況を常に把握するシステムが構築されていないのは、そうした分析の必要性を軽く受け止めているためであり、問題の重要性ばかりか現状とのギャップを問題と捉える思考が未成熟なのである。つまり、情報が収集されていなかったのは、収集システムの欠陥というよりは、あるべき姿に対する意識の希薄さによるものである。
 こうしたメカニズムが経営サイクルを回す過程で増幅されると、計画と実績の差異分析は全く形骸化したものになり、是正措置を講じようにも組織力が錆ついてしまい、前向きな回転力を作り出すことが困難な状況に陥ってしまうのである。こうした状況下で分析システムを改めたとしても、有用な情報が何であるかさえ既に見失われている。