中小企業の問題発生メカニズムの検証?その2

 問題発見のためのデータが蓄積されないのは、会計ソフトの問題ではない。会計ソフトは、一定のルール内で収益や利益などが生じた経緯をシスティマテックに整理することを目的としたものであり、今後の経営戦略の構築自体をメインにしているものではない。しかし、中小企業の多くは、これで必要なデータは全て完備していると勘違いしている。
 時にはキャッシュフロー計算書もこの通り作成していると誇らしげに言う経営者もあるが、これを作成することの意義を尋ねてみると、納得のいく応えは殆ど返ってこない。これらのデータは自社の経営のために必要なデータというよりは、税務署が必要なデータなのであり、内容は同じでも経営のために必要なデータとしては直接活用しづらい。
 どうしてこのような勘違いが起きるのかといえば、歴史的な背景があることに気づくであろう。つまり、会計処理は難しいものだから、税理士さんにお願いすべきものであって、専門家はお任せするのが一番という観念が定着しているからではないのだろうか。そうした考えを批判する積もりは更々ないが、経営にとっての意思決定とは別問題である。
 企業経営者が投下した資本を回収することを目標に掲げている以上、計画が思惑通りに遂行することができないという現実に直面した場合、当然これを是正する措置を講じようとするはずであり、そうした場合にあるべき姿とのギャップを、まず掴まえることが先決である。そのために必要なデータは税務申告のためのデータとは異なるものである。
 この点を勘違いしていることに大きな問題がある。こうした認識に立つことが、経営計画を修正ないし再構築を目指す場合の情報の価値を決める。そして、その価値を全社で共有することの意義を経営者自らの口から直接社員に伝えなければならない。そうしなければ、必要なデータはいつも軽視されてないがしろにされてしまう。
 コンサルティングの現場でよく遭遇する場面で、営業担当者がよくいう言葉は、「売上や得意先データは然るべき部門で管理しているので、重要性はよく認識している」というのがある。しかし、営業担当者が今必要としている情報を他の部門管理者が把握しているというのでは、現場で活用することが定式化されていないことになる。