問題発生メカニズムが解明できたとしても、直ちに問題解決に結びつくとは限らないから、これをさらに精査する必要が生じるのは当然である。例えば、売上の減少が競合企業の販売促進の強化によることが明らかになったという場合、自社の販売促進策の内容が自動的にデザインされるわけではないといった場合で考えみよう。
この場合、他社との販売促進策に限定して考えたとしても、かなり複雑な要因が含まれていることに気づくであろう。そうすると、売上の減少の原因が販売促進策にあり、その内容がセールスマンの数に起因するものであったという仮説が成り立ったとして、さらにそれが投入人員数なのか、それとも得意先に対する訪問回数なのかは不明である。
ましてや、セールスマンの資質に関するものであった場合、これを見過ごして人員数の投入で問題解決を図ったとすれば、仮説は全く的外れであったことになる。このように間違った結論に導かないためには、さらに掘り下げた分析を用意しておかなければ、あるべき姿とのギャップはさらに拡大することになってしまう。
こうした失敗は分析の過程でよくおかしてしまうことがある。実は大失敗だったと反省していることがある。それは企業における高齢者の雇用率とこれに大きく影響を与えている要素を特定するための分析をしたときのことである。分析から得られた結果を直視すると、女性の雇用者数と高齢者雇用率は負の相関が高いことが明らかになった。
この結果を基に判別分析を行うと、かなりの確率で高齢者雇用率の高い企業かどうか判別でき、誤判別率も低かったので、これを基に仮説を立ててみようと思ったのであるが、どうも納得がいかないので、別の角度から分析をしてみた結果、この関係(女性の雇用者数と高齢者雇用率)因果関係によるものではないことが判明した。
ここには収益率という重要なファクターが介在していたことは比較的早い段階で発見できたが、最初の結論を鵜呑みにすれば大変なミスジャジを引き起こすことになったに違いない。このように本質を見抜くということの難しさを踏まえたうえでの分析でなければ、精度の高い仮説を打ち立てることはできないのである。
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