アウトソーサーに期待される機能とは??その2

 アウトソーシングが活発化することが間違いないという前提に立てば、委託企業側の対応は、もっぱら設備投資によって増加すると思われるキャッシュフローとこれを回避してアウトソーシングすることのメリットを比較考量して、意思決定をすることになるわけであるから、資本の回収コストは受託企業が負担することになる。
 しかし、見方を変えれば、設備投資を伴う場合だけではなく、どちらの企業が負担したとしても、製品あるいは業務を中心にコストを考えれば、同じことになるので原則として質量には変化はないはずなのに、何故アウトソーシングが両者にとってメリットがあるのかという根本的な問題を整理しておく必要がある。
 具体的なメリット、デメリットに関しては前述の通りであるが、アウトソーシングを選択する決定的な要因はリスク管理という視点からの発想なのである。アウトソーシングの場合は、受託企業側のリスク管理力が優れていることが不可欠な要件であり、委託企業側にとってはこれを見極める眼力が求められることになる。
 一見すると、アウトソーシングに踏み切ることで、委託企業側は不確実性を回避できたかのように思われるが、受託企業側がブレーキすることになれば、販売計画にも大きく影響することになるだろうし、再調達コストも増大することになるが、受託企業側にとっては文字通り致命傷になるので、両者にとって計り知れない損失が発生する。
 すなわち、アウトソーシングが実施されれば、不確実な変化によってもたらされるリスクは受託側企業が全面的に引き受けることになるから、そのリスクをヘッジする能力が提供する技術力以上に大きな付加価値なのである。ここにアウトソーサーの存立基盤があるのであり、それはちょうど映画のスタントマンのようなものである。
 アウトソーサー側に身を置くとすれば、従来型の安定志向ではサービスの品質を高めることはできないことを悟るべきである。もちろん、委託企業側に残るとしても自己管理力が欠落していれば、居場所がなくなることは必定であるから、安住の地を求めるという姿勢を改め、リスクの中でどのように身を護るかを自己研鑽の柱にしなければならない。