サービスの品質を高めることで付加価値生産性の向上を狙うこということは、品質の高いサービスを求める企業ないし消費者が対岸に対峙していることが絶対条件であることは疑う余地はない。そこでサービスの品質を求めている内情を探ることでサービスの付加価値を高める、という視点から経営環境を眺めてみよう。
アウトソーシングの動きが活発になってきた背景については既に述べたが、これは従来の下請けとは異なり、ある意味で弱みを受託企業に対してさらけ出すという危険と背中合わせであるという、いわば諸刃の剣であることも事実なので、今後の発展はパートナーとの信頼関係の構築、契約内容の充実などが大きなポイントとなる。
しかし、そうした危険を克服しなければ、不確実性の高い設備投資を見切り発車の形で実施し、結果的に市場競争に生き残れないことになれば、機密漏洩などのデメリットも経営計画にあらかじめ織り込んでおくなどの対応策が必要となるわけだが、ここで重要なのは、ある種力関係の均衡を保つためのモニタリング・システムを構築することである。
例えば、大相撲の出稽古で考えてみると解かりやすい。ある部屋で必殺技を編み出すことに専念していたとすると、他の部屋の力士を出稽古に受け入れることはもちろん、自らも出稽古に出かけることに消極的になるはずである。しかし、その場合は必殺技が他の部屋の力士に通用するかどうか不安も募ることになるであろう。
このジレンマを解決するために取られているのが、現在の出稽古なのである。つまり、最小限のリスクを容認することでメリットを最大することが、マネジメントの機能そのものなのである。この例に限らず、ノーリスクでハイリターンを期待するマネジメントはモニタリングコストがかかり過ぎるため、市場のチャンスをものにすることは出来ない。
これでは、角を矯めて牛を殺すのと同じことで、マネジメント機能を放棄したに等しいといわざるを得ない。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」、「河豚は食いたし命は欲しい」などという諺が示すとおり、相反する事象をコントロールしてメリットを引き出すしかない。逃げ場を探すのも勝つための戦略を考えるのも、結局は同じ質量の努力が要る。
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