サービス業の経営革新

 アウトソーシングなどの増大に頼るだけではなく、サービス業自らが新しいサービス商品を開発することで付加価値を高めて行くことが望まれる。こうした方向に沿った経営革新は今後中長期的には進展すると思われるが、現状では推進力が弱いことは確かで、IT化が進展している割合には生産性が低下しているのが気になるところである。
 社会生産性本部などの分析によると、こうした現状を打開するには人材育成と組織改革が必要としているが、本当の原因はどこにあるのかまでは分析されていない以上、闇雲にこれらを推進するだけでは低下には歯止めがかからないように思われる。何故なれば、全要素生産性(TFP)の上昇率でみても慢性的に低レベルだからである。
 教育・学習支援、医療・福祉、飲食店・宿泊業、金融・保険業およびいわゆるサービス業などは、付加価値率はある程度高いのに価値生産は低いという現実を直視すると、人材育成や組織改革だけでは限界があることを意味しいるのではないだろうか。つまり、サービスの受け手が品質を高く評価してくれなければ解決できない構造になっている。
 もちろん、そうした考え方は市場原理からはかけ離れていることは承知の上での話ではあるが、現在の枠組みで付加価値生産性を高めるためには、サービスの交換価値を一方的にあげることで付加価値生産性を勝ち取るしかないが、使用価値を認定するのは受け手(消費者)である以上、たちまち押し返されることは目に見えている。
 こうした厳しい経営環境にあっても、GPSを全車に搭載させて配車を効率的にすることで業績を伸ばしたタクシー業者やITを駆使して合理的なサービスを実現した飲食店など、既存のサービス業でも経営革新は着実に浸透しつつあるが、革新の手を緩めるとたちまち、陳腐化してしまうという厳しい現実が待ち構えていることも事実である。
 IT化の幕開けとともに、技術革新を取り入れたハイテク化や伝統的なサービスにより付加価値を付けるハイタッチ化、新しい付加価値を提供するサービス業という形で変貌を遂げてきたが、バブルの崩壊とともに過熱化した状況にブレーキがかかり、生活防衛型の実質的サービスが珍重される時代が到来したとみて差し支えないように思われる。