サービスの品質を高めるアウトソーシング

 サービス産業の付加価値生産性が低かったのは、確かに絶対品質が低くかったことも事実ではあるが、製造業の大企業では付加価値生産性が高いということと併せて考えると、設備投資能力や技術力の高さだけでは説明がつきにくい。アウトソーシングに限らず全ての生産活動はサービスによって支えられていると考えられるからである。
 サービスの品質は、力関係により下請企業の提供するサービスが低く評価されたため、相対的に完成品の付加価値を押し上げていたと考えれば、つじつまが合うのではないだろうか。要するにメーカーは下請けのサービスを力によって抑え込み、自社製品を高付加価値なものに仕立て上げ、付加価値生産性を高めてきたとは考えられないだろうか。
 もっと解かりやすくいえば、所轄の手柄を本庁がさらって行く、あの刑事ドラマさながらのスタイルであった。こうした構造を熟知していたからこそ、下請代金遅延防止法や独占禁止法により高圧的地位の濫用などを取り締まる法律ガ施行されたのである。それなのに、サービスの品質が本来的に劣っていたことだけを問題にするのは片手落ちである。
 アライアンス戦略が主流になりつつある現在、アウトソーシングの割合が高くなることは間違いないとすれば、サービスの品質を本来の付加価値として正当に評価してもらえるチャンスと捉えることができる。何故ならば、従来の下請け関係とは異なり、パートナーとして処遇されなければ、依存度の大きい受託者からしっぺ返しを食う虞もある。
 ともあれ、サービスの品質そのものも向上させなければ、総付加価値自体には変化はないわけであるから、より専門性の高い差別的なサービス商品を開発する必要がある。このように考えると中小企業にとっては、サービスに付加価値を付けるチャンスではあるが、小さな市場を求めて進出を図る競争者もまた増えることになる。
 しかし、競争原理が働かなければ、中小企業がもっている革新機能が萎えてしまうこともある。競争を避けるとかなくするという発想ではなく、有利に戦える市場と独自能力の組み合わせを見つけることで、成長を目指すという戦略的発想で経営資源を再点検すれば、新しい存立基盤を見出すことができるはずである。