企業の経営活動は、まず経営計画の策定から始まり、この計画を実施するために最適と思われる組織が編成され、この組織が効率的に稼動するために協働するメンバーが動機づけられるシステムを構築する。次にこの仕組みを実際に動かす実施の局面を迎えるわけであるが、ここには何らかの統制が必要になるのは当然である。
この統制の一手法が予算差異分析であるとみれば、経営活動の最終行程とも解釈できるが、当初に経営計画を策定する際にはかなりの勝算があったはずであるから、その時点で既に情報収集が行われていたと見るべきである。したがって、統制手段としての予算差異分析は、次年度の経営計画を基準に見れば、重要な情報収集活動なのである。
しかし、残念なことに企業の現場では、この予算差異分析がおざなりになっているため、次年度の経営計画が達成可能であるという認識が乏しく、書類上の計画あるいは計画のための計画になっているため、予算差異分析は殆ど意味をなさないのが常態になってしまい、計画達成に対する動機づけも極めて希薄なものになっている。
経営計画達成のための第一線部隊である営業担当者に、今年度の売上目標や貢献利益目標を尋ねても明確に答えられない場合もあるのはこのためである。つまり、自分の営業活動の結果を総括していないので、次年度の経営計画に適切な情報が反映されていないことを熟知しているから、計画目標の達成に意欲を燃やすことができないのである。
こうした悪しき習慣はあっという間に出来上がり、この悪循環を断ち切るには相当のエネルギーがいることから、認識ある無責任を押し通す道を選択せざるを得ない状況に陥るのである。こうした状況下にある企業は驚くほど多いのだが、反面、こうした状況から立ち直る必要性を切実に感じている中間管理者も結構存在する。
評論家であれば、問題を投げかければ一応役割を果たしたことになるかもしれないが、実際にこうした負の遺産を清算し、正常な状態にするには前述のように相当なエネルギーが必要であるが、だからといって何もしないのであれば、投下した経営資源を食い潰すことになるのも事実であるから、まず体制づくりにチャレンジしなければならない。
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