予算差異分析の活用?その1

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 企業活動において、予算と実績に差異が生じるということは重大な意味を持つものであるが、現実にはそれほど活用されていないように見受けられる。特に中小企業では予算差異分析の結果を次期の予算編成に活用する仕組みになっていないため、部門統制のツールとしても位置づけられていないのが現状のように思われる。
 この理由は近年の会計ソフトの普及とも関連があるようだ。会計ソフトは財務会計用として開発されているため、前年度と今年度の同月比(差異)などは自動的に計算され、損益の状況や財務状況をリアルタイムで把握することができるし、予算額をあらかじめ入力しておけば、予算と実績の差異も当然自動計算される仕組みになっている。
 しかし、何故かこのツールはあまり活用されていないことが多い。それはこのソフトの使い勝手に問題があるわけではないが、自社に適した管理会計用として活用するには、元の表計算機能に戻る必要があるため、予算差異分析のツールとしては敬遠される面もあるように感じられるが、本質的な問題ではないことも確かである。
 予算差異分析は予算と実績を数量と金額に分けて計算するものだと捉えれば、予算さえセットしておけば、実績をそのつど入力すれば自動的に分析が完了することになるが、これだけでは分析する意味が全くない。計画に対して実績がどのような理由で生じたのかを明らかにすることが、この分析の本来の役割だからである。
 このように考えると、予算(計画)を策定する時点でどのような配慮がなされ、妥当であると判断したのかが曖昧であれば、実績と対比して差異を測定したとしても無意味なことである。つまり、予算差異分析は、予算策定の根拠を示す意味において重要な役割を担っているものであり、計算自体は差異が生じた背景を分析する入り口に過ぎない。
 すなわち、経営計画の策定に重要な根拠を与えるものが予算差異分析であり、おざなりに設定された予算を定規にして実績との差異を測定するのでは正に主客転倒であるが、分析が予算策定後に行われるために、分析のための分析になってしまいがちだが、本来は計画の策定に資するために不可欠なものであるということを認識しなければならない。