企業ドメインンとは、企業の事業活動を規定する範囲と境界を明らかにすることであり、企業のアイデンティティ(同一性、基本的性格)と言い換えることもできる。その設定意義は以下のようなものである。一つは、ドメインを設定することにより、企業が意思決定する場合の焦点を限定的に定義し、評価軸を明らかにすることである。
企業が新たな事業機会を模索する場合、その評価軸が明確でなければ漠然として、情報の収集の領域が定まらないから、取り留めのないものになってしまう。例えば、ブテックの経営者とペットショップのオーナーとでは、情報の種類も分析方法も違うから、同じ情報に対しての反応は全く違ったものになるはずである。
この違いこそがドメインの相違である。つまり、今年の流行色という話題には、ブテックの経営者は興味を示すだろうが、ペットショップのオーナーにとっては、一般的な興味の範囲を超えることはないであろうが、近所で子犬が産まれたとい話題であれば、逆の反応を示すと言った具合である。これらは業務領域が話題への興味を限定しているのである。
二つめは事業を定義することで、経営資源の蓄積や人材の育成が決まってくることである。例えば、印刷業の場合で考えてみると、活字を印刷することで書類などを作成すること事業を定義しているとすれば、印刷以外の業務は視野に入らないことになるが、メモリアル産業と位置づければ、映像技術にも情報収集の触手が伸びるはずである。
このように考えれば、蓄積しなければならない経営資源も明らかになるだろうし、人材の育成の方向も定まる事になると同時に、現在のライバルだけではなく、将来の競争者に対する対策も具体的に立てられることになるから、事業の構造も無駄のないものになり、組織としての行動規範も解かり易くなり一体感も生まれる。
もう一つの大きな意義は、顧客に対して強力なメッセージを発することで、自社の特徴と顧客の指向をマッチングさせることに役立つことである。例えば、顧客が新製品の購買を考慮する場合に、企業のドメインが明確に示されていれば、品質や性能、価格などの一般的条件だけではなく、総合的な見地からの意思決定に寄与する。
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