前述のように競争戦略は、競合企業と競り合うことで市場競争を優位にする戦略であるが、よく考えると、その根底には市場競争で優位に立つことの真の狙いは、競争企業を排除することで市場を独占あるいは寡占化し、企業の収益力を高めるために取られる戦略であるという側面を持っていることに気がつくのである。
そうだとすれば、企業目的を達成することが使命である以上、競争することによって最終的に得られる利益(広義の利益)とこの戦略に費やすであろう費用を比較して、戦略を決定することを視野に入れてもよいような気がする。もっとも、これを実現するためには闇カルテルなども横行する危険性もあり、安易には取り組めないという事情もあろう。
しかし、以前に非価格競争戦略について言及したように、自社単独でも強力なメッセージを市場や競合企業に発することで、競争回避の優位性をアピールできる可能性もある。こうした戦略が結果的に成功したケースが結構多いことは周知のことである。問題は誰に向かって、どのような形でシグナルを送り続けるかである。
この場合の切り口は、最終的に利益を享受できるのは企業ではなく、その還元により消費者や生活者が豊になるかどうかを基準すべきものではあるが、客観的な尺度が確立されているわけではないので、取り敢えずは企業のCSRに委ねられることになるだけに、熾烈な競争戦略の遂行と寡占化を容認することの功罪に消費者も関心を持つべきである。
ともあれ、企業が具体的に競争回避戦略を志向する場合、どのような手法で臨めばよいのだろうか。企業が単独で選択することを前提に考えれば、参入障壁を設けることであるが、これには棲み分け、M&A、製品差別化、市場細分化などの戦略がある。もちろん、この他にも許可や認可といった公的な規制もあるが、あまり話題にする価値はない。
ここでは、もっぱら技術力や設備の余剰などの経営シナジーを活用した戦略を考案することに限定して、競争を回避する戦略を位置づけている。つまり、独占が有利かそれとも競争することで市場を活性化し、結果的に技術革新やローコスト・オペレーションを誘発することで社会的に貢献するかが戦略の中心になければ企業は生き残れない。
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