企業の成長戦略

 成長戦略とは外部環境の変化に対して、企業を適応させるために成長機会を見つけ出し、経営資源を効果的かつ効率的に投入する戦略のことである。したがって、この戦略は成長機会を探索し選択することと、成長の機会をどのようにして実現するかという問題を含んでいるので、市場と製品の組み合わせの問題でもある。
 進出市場の選択は通常高成長分野ということになるだろうし、その場合は新製品の開発を伴うことになるので、自社の経営資源の質量を踏まえたうえでの評価が不可欠であり、成り行き的に成長分野を選択するだけでは、非効率なものとなってしまうのは当然であるから、一定の評価軸を構築しておく必要がある。
 また、成長にはリスクが伴うことも経験上よく知られていることなので、リスクヘッジもこの戦略の柱の一つとして位置づけておくべきである。これら3つの角度から検討されなければならないのが成長戦略であるのだが、時として偶然の機会に飛びついてしまい、有望な成長機会を見逃してしまうという過ちを犯してしまう。
 新分野進出に失敗した企業はこうした傾向が強いように思われる。成長分野は感覚的にも容易に把握できるが、この分野に適応し新製品を投入できるか、その場合にどのようなリスクをとらなければならないか、そして、新市場における競争相手は誰か、という基本的な戦略思考が全く欠落していることが大きな原因の一つである。
 このようにリスクの削減策も事前に織り込んでおくこと、これが成長戦略の遂行には欠かせないものであるがゆえに、戦略の選択も多様なものが考えられる。例えば、M&Aにより成長分野にある企業を丸ごと手中に収めるなども一種のリスク回避策であるし、自社の技術力を集中することで競争を仕掛ける場合もあり得る。
 つまり、どの戦略が望ましいかは企業の経営資源の質量によって異なるものであるから、時には競争戦略が成長戦略となることもあり得るわけであり、全ての戦略は無風状態の中で遂行できることはないと考えれば、競争相手がどのような対応を取るのかという不確実性にも配慮することにつながるものとなるであろう。