多様な要素が凝縮されたマネジメント機能

 マネジメントに期待される機能は、まず戦略的意思決定をタイムリーに行うことができることである。といっても、組織は人の集団である以上、トラブルや部門間のコンフリクトを調整する機能も同時に発揮されなければならない。また、時には経営理念が組織内に浸透するように啓蒙する役割も担っていることも確かである。
 しかし、実際にはこれらの機能を同時にもち合わせ、しかも、適宜使い分けるのは不可能に近いことから、ある程度組織が大きくなれば、これらの機能を数人で分担して担っているといのが実情ではなかろうか。そうした前提に立てば、トップマネジメントの仕事は戦略的な業務にある程度専念できることにもなる。
 より現実的に考えれば、機能を分担せざるを得ないのかもしれないが、自ら調整力を発揮しなければ戦略の遂行にも影響が及ぶこともあり、このこと自体が既に矛盾の塊となっているため、現実問題としてはコミュニケーション能力も要求される。結局のところ、矛盾の解決のためにどれだけ真摯に取り組んだかが今後の糧になるのである。
 外部環境の変化は企業組織にとって、時には理不尽なほどの変革を求めてくるものである。前述のオイルショックもそうであるし、IT化の進展などによる技術革新もある意味でそうである。しかし、これらを受け入れるかどうかの決定権は企業にはなく、受け入れることを前提にした対応力のみがマネジメントのとるべき姿勢である。
 内部組織の変革に関しても同様で、例えば、従業員の所得と企業のコストとの均衡問題なども永遠のテーマでありながら、一向に妙案が出てこないが、経営者も従業員もこれらの矛盾をある程度飲み込むことで無理やり調整を図っているが、そうした矛盾を乗り越えることの価値が共有されていれば容認し合えるから不思議ある。
 このようにあからさまに矛盾を指摘することに意義があるわけではないが、それでも、共通の目的をもって協働するシステムを構築し、リーダーシップを発揮することで人間関係を深められることの矛盾こそが、企業経営ばかりではなく、あらゆる組織の存在意義なのではないだろうか。プラス思考で挑む経営者にエールを贈りたい。