企業の環境適応力とマネジメントの基本的機能

 これまでの記述は、どちらかというと既存の企業が現実に抱えている経営課題に対して、ダイレクトに応えることをコンセプトにしてきたため、企業の基本的な機能や経営者ないし管理者に期待される役割については、あまり踏み込んでこなかったような気がしているので、今回からは環境とのかかわりを中心に企業経営を捉えて見たい。
 この場合の環境とは、市場環境をのみを意味するものではなく、供給業者、物流業者、金融・保険業者といった比較的企業のマネジメント機能との関わりが深い領域に加え、経済的、社会的、文化的、技術的、政治・法律、競争環境などのいわゆる統制不能な外部環境および人的結合である内部環境にまで及ぶ広い領域を指している。
 企業はよく市場に生かされているとか、環境の中に生きていると言われたりするが、単に環境に適応することだけで存在しているだけではない。例えば、環境破壊を防止する措置をとったり、新しい製品を開発することで環境を造り変えることもあり得るからである。いずれにしても環境や組織をマネジメントすることが企業経営であるといっていい。
 つまり、企業経営の過程で環境を如何にマネジメントするかによって、経営成績が決まるといっても過言ではないことになるから、企業経営者は組織内部の環境をコントロールしながら、外部環境に働きかけるという行動により経営活動を行っている。ここには、常に大きな矛盾が横たわっており、時にはこの調整が難航することもある。
 また、トップ・マネジメントばかりではなく、ミドルマネジメントの機能も範囲は異なるものの基本的には同じであり、部門内の組織が抱える矛盾やコンフリクトをマネジメントして企業目標を達成するために能力を発揮しなければならないわけであるから、マネジメントは矛盾との葛藤の中で活路を見出すしかないとも言えるのである。
 このような言い方をすると、マネジメントとはストレスの塊を常に抱え込んでいるものという印象を受けるかもしれない。しかし、かつてのオイルショックという大きな矛盾を克服した経緯などを考えると、正にマネジメント機能が発揮されていることが実感でき、環境適応力を超えた環境創造力とでも評すべき機能である。