業種特性の分析?その1

 これまでの分析は、同一業種内における規模別のポジションを特定するものであったが、今度の分析は、各業種の規模計(業種の加重平均)が全企業群の中で、どのような位置にあるのかを確認している。つまり、前者が同業種内におけるポジションがメインであったのに対して、ここでは全業種内における特定業種の位置を明らかにするものである。
 第1グループは、「食料品、小売業、衣料、木材、建設業、繊維、農林水産業」で、その特徴は労働分配率が高く、付加価値生産性は低い。第2グループは、「卸売業」で、人件費率、付加価値率ともに低く労働分配率はやや高いが、付加価値生産性は中程度である。すなわち、4つの要素からかなり遠い位置にあることになる。
 第3グループは、「紙パルプ、窯業・土石、一般機器、精密機器、その他製造、印刷関連、サービス業、金属製品、非鉄金属、情報通信機械器具、輸送機器、電気機器」で、付加価値率、人件費率、労働分配率、付加価値生産性ともに中程度であるが、主成分で言うと、いずれも絶対値が小さく、原点の回りに集中している平均的業種群である。
 第4グループは、「化学、鉄鋼、不動産業、情報通信」であり、人件費率、付加価値率ともにやや高く、かつ付加価値生産性も第3グループより高いが、ポジションとしては原点を挟んで対角線上に分布している形になっている。第5グループは、「電気・ガス・水道」で労働分配率が小さく、付加価値率は高いが付加価値生産性も高い。
 第6グループは、「石油石炭」である。この業種は、付加価値率、人件費率、労働分配率から遠い位置にあり、付加価値生産性は高い。第7グループは、「運輸業、飲食店・宿泊業、金融・保険」であり、人件費率、付加価値率がともに高く、付加価値生産性は低い。第8グループは、「医療・福祉、教育・学習支援」で、同様に様付加価値生産性は低い。
 実際に夫々の企業が自社のポジショニング分析を行う場合は、ここで行った業者の特性をあらかじめ把握した上で、業種別・規模別特性の分析を行えば、より客観的に自社の位置づけが明確になり、経営改善のためのシミュレーションが簡単に実施できる。つまり、付加価値率、人件費率、労働分配率と自社の位置の距離をどの程度縮めるか絞られる。