業種別・規模別特性の分析?卸売業

 この業種の特徴はなんと言っても1社および1人当り売上高が大きく、付加価値率が小さいことであろう。しかし、基本的には労働分配率、人件費率、付加価値率、付加価値生産性の4つの要素によって、業界の位置づけが決まる構造は他の業種と変わりない。ただ、製造業は、労働分配率、人件費率、付加価値率は極めて近い位置あった。
 一方建設業では人件費率、付加価値率は近いが労働分配率は、これらと遠い位置にあることを確認してきた。今回ここで取り上げる卸売業の特徴は、人件費率を中心にして労働分配率と付加価値率が左右に離れていることにある。これらは、付加価値生産性とは反対の性質があるにしても、それぞれ独立した性質をもっていることを意味している。
 相関行列を見てみると、「付加価値率」は、「人件費率」と強い相関あるものの、「1人当り売上高」、「1人当り付加価値額」、「1人当り利益」、「1人当り総人件費」とは負の相関がある。「分配率」は、「付加価値率」とは相関が低いうえ、「人件費率」との相関もそれほど大きくはないが、「付加価値率」と似ている性質もある。
 すなわち、「分配率」は、「1人当り売上高」、「1人当り付加価値額」、「1人当り利益」、「1人当り総人件費」とは負の相関がある点では、「付加価値率」と同じであるが、付加価値率が高い場合は人件費率も高い傾向はあるものの、労働分配率は低いというかなり複雑な関係にあるというのが、この業種の特徴のようである。
 2人未満、2?3人未満は、付加価値率は低くないが労働分配率が高いため、付加価値生産性は極めて低い。10?20人未満20?50人未満は、付加価値率が低く労働分配率は高いが、人件費率が低いため付加価値生産性は中程度である。5?10人未満は、労働分配率、人件費率ともに高いため付加価値生産性は低い。
 3?5人未満は、人件費率は中程度であるが、付加価値率は高く労働分配率は極めて低いが、付加価値生産性は高くはない。50?100人未満および規模計は、付加価値率は低いが人件費率も低いため、付加価値生産性は比較的高い。100?1,000人未満および1,000人以上は、付加価値率、労働分配率、人件費率が低くなっているため付加価値生産性は高い。