中小業は情報武装で本領発揮すべき?その2

 1995年から2000年の5年間で60歳以上の就業者は1,150千人減少しているが、その一方で増加した職業(就業者)もある。「自動車運転者」、「清掃員」、「調理人」、「一般事務員」、「会計事務員」、「外交員(商品、保険、不動産を除く)」、「理容師(助手を含む)」、「他に分類されない労務作業者」、「配達員」などが上位を占めている。
 増加数は163千人で絶対数は少ないが、上位10業種で見る限り就労者割合の多い職業とは重複している職業はない。また、これらの就業者も大企業に所属していることはありえるが、市場のニーズが急速に多様化していることを裏付けていると見ることもできるから、団塊の世代が参入することで更に多様化する可能性が高まる。
 特に労働集約型のこれらの業種は、ITと結びつくことにより細分化された個別ニーズに対し、木目細かく対応する業態に変貌することが期待される。現にIT化を特別意識しなくても、携帯電話やカーナビなどの情報機器はこれらの業種にも入り込み、応用範囲はますます広がっていることは周知の事実である。
 こうしてみると、中小企業が大企業と棲み分けするためのボーダーラインは、労働集約的で標準化の困難な業務であることといった大枠の中で、地域や季節限定型の非日常的なニーズ対応型商品・サービス商品、大企業の間接部門を補完するサービス業務、OEMなどによる特殊技術の提供、その他種々のものが考えられる。
 また、業種別のオプショナルな展開に着目しても、ITとの相性を良好なものにする可能性は十分にある。例えば、「自動車運転業務」などは従来の固定観念からすると、標準化が困難でIT化とは遠い位置にあるように思われてきたが、近年はサービスドライバーなどという名称で呼ばれることもあり、情報の収集・加工力により差別化されている。
 その他の労働集約型業種でも、情報武装とは無縁であるということはありえない話である。何故ならば、あらゆる企業は規模の大小に関わらず、消費市場動向、他社や業界の情報を基にして経営の意思決定を行ってきたはずであるから、ITを活用することで、顧客の満たされないニーズや潜在ニーズに迫ることが可能になるからである。