反骨精神こそ中小企業の最大の経営資源?その1

 反骨精神というと、世間の常識や趨勢に逆らうという印象が強いが、常識を疑ってみることやその背後にある真実を探求する姿勢がなければ、ただの頑固モノであるといわれても仕方がない。もっとも、頑固には哲学があるので希少価値があると賞賛する人もいるくらいであるから、頑固を悪と決めつけているわけではない。
 しかし、企業の経営上は反骨精神と頑固とは明らかに違うようだ。売れない本だけを特集して特販をしたところバカ受けしたという話を新聞で読んだことがあるが、これこそ反骨精神の元祖という気がした。その本の中には、不朽の名作も含まれていたというから二度びっくりである。今売れないことと不要になったものとは別物のようだ。
 こうした逆転の発想に出会うたびに痛快に感じるのは私だけでないようなきがする。よく考えてみると、そこまで踏み切るまでにはかなりの葛藤があり、もしかすると物笑いになるという不安もあったはずなのに、そうしたプレッシャーを乗り越えて実行し、しかも成功させてしまった思慮深さと勇気に敬意を表さざるを得ない。
 こうしたタイプ経営者は中小企業の中にはまだまだ存在すると思っている一人として、これを武器に戦う戦略を考えて見たい。例えば、流通業の場合で考えてみると、消費者のある共通のニーズを大きく括り、売上を獲得しようとすれば店舗面積を拡大し、品揃えも充実させなければならのは当然である。それだけにとどまらず、広大な駐車場も必要となるだろうし、顧客の安全対策にも細心の配慮をしなければならない。
 これまでのところ、そうした業態が消費者の支持を得てきたが、品揃えに物足りなさを感じてきはじめた傾向も見られるようなってきた。食料品などの生活必需品は相変わらず人気は高いものの、あるジャンヌで括るとラインの拡大では賄い切れない事態が生じてきたため、売り場から姿を消している商品もかなりある。
 このような状況に気づいている消費者は多いと思われるが、こうした現象がおきることは以前から予想されていたことである。つまり、品揃えを総合化して全ての需要を賄おうとすれば、あるカテゴリーを専門とする店からすれば、全てをねこそぎ奪われることになるから、生き残りをかけて必死の抵抗を繰り広げることになる。