組織化のメリットをもう一度

 労働者にとって組織化といえば、今も昔も労働組合を思い浮かべるのではないだろうか。一頃に比べて組織率こそ低下しているものの、現在でも担っている役割は小さくないと思われるが、今後はこの組織をライフスタイルごとに区切って、市場や企業に対してメッセージを発し続ける集団と位置づけてはどうだろうか。
 昔とは違いIT時代の今日では、インターネットを活用すれば、あっという間に同胞を募ることができる。個人の拘りを共通因子で括ることができれば、企業にとってもある程度マーケットサイズを把握する目安にもなるので、企業とのキャッチボールもかなり無駄が省け、嗜好に沿った製品開発が可能になる。
 企業側からすれば、これを掴みきれないことに長年悩んできたのだから、「どんなものが、どれだけ欲しい」かが事前に把握できれば、最高傑作のプログラムド・マーチャンダイジングが完成したのも同然である。もちろん、その分競合は激しくなるだろうが、もとより市場における競争はどんな状況でも生じるものである。
 依然このブログで「市場の細分化は因数分解の手法で」という内容の記述をした覚えがあるが、これは正にその手法の逆提案である。すなわち、ある共通の趣味趣向を大枠でまずく繰り出し、順次これを細分化していくことで、最後に、自社が得意図とする分野を特定し、ドメイン(存立基盤)を設定するというやり方である。
 ここでは、そのやり方を企業がやるのではなく、団塊の世代の皆さんが、因数分解された「解」をつくり、こういう分野が得意な企業さんはいませんか、と逆提案するわけである。こうすることで、最適の組み合わせが見つかれば、自分のお抱え企業が持てるわけだから、気分も最高になること疑いなしである。
 そううまくいくのか、と私に投げかけるようでは従来型の高齢者と何等変わりない。これをヒントにして実情にあった仕組みを作り出す工夫をするのが、自分らしい生き方探しをする人の特権でもある。人はみな個性的で誰とも違うことを誇りに思いたい半面、人(他人)と違っていることに不安を抱くものでもある。