資金計画?その1

資金計画とは資金の運用と調達に関する計画で、企業の財務流動性を維持しながら、資本収益性の最大化を図るための計画であり、期間の長短により、長期資金計画と短期資金計画に分けられ、前者は主として長期設備投資計画を対象として、長期資本予算から支出計画までも含む資本構成計画(自己資本と他人資本の構成)までカバーされる。
 後者の短期資金計画は単年度を対象とした計画であり、主として財務の流動性維持と余剰資金の活用を目的としおり、端的に言えば短期の支払能力に関する計画であるから、資金繰りがメインテーマとなり、在庫、売上、売掛金、現金という一連の資金循環過程に重点が置かれた計画であるといえる。
 一方、資金計画はその対象の相違により、固定資金計画、資本構造計画、運転資金計画、現金収支計画に分けられる。このうち固定資金計画は、長期に固定する資金の調達と運用に関する計画であり、設備投資や社債、長期借入金の返済額などの資本的支出から、増資、社債、長期借入金の計画まで含まれる。
 次に、資本構造計画は、健全な資本構造を維持するとともに、資本コストの最小化を図る計画である。また、運転資金計画は、前述のように短期に回転する運転資金の調達と運用に関する計画であるから、現金、預金、買掛金、支払手形、短期借入金、売掛債権、棚卸資産などの予算を計画することで運転資本回転率を高めるための計画である。
 最後の現金収支計画は、資金繰り計画でもっぱら収支のタイミングを計画することで、現金収支の過不足を予測し、円滑な資金手当てを扱う計画である。つまり、現金収支計画は、収支のタイミングをつかさどる命綱を計画するものであるから、販売計画や仕入計画ばかりではなく、売掛金の回収計画とも連携して計画されなければならない。
 このように多様な側面からの検討が求められるのが資金計画であり、調達と運用バランスはもちろん、効果と効率という面からの評価も重要な視点であるし、戦略意思決定によっては、敢えてその均衡を犠牲にする場合もあり得るから、一元的には計画を捉えることはできないにしても、運転資金計画との整合性は常に保っておかなければならない。