利益計画の柱は何といっても販売計画であることは疑う余地はないが、この販売を担うのが販売員である以上、その処遇の合理性が重要な意味をもつことを力説してきたつもりである。企業が生み出した新たな価値(付加価値)のうち、従業員に分配される率(労働分配率)が大半を占める固定費計画は、まさにやる気のもとを支える計画である。
ここでは、製造原価に属する直接人件費、その他の固定的費用、販売管理費の固定的部分を固定費と呼ぶことにするが、この費用は、販売価格を左右する付加価値を高めるために必要不可欠な費用でもある反面、目標利益の達成を左右する原価構造の高低に影響を与えるという二つの相反する性質を内蔵している。
すなわち、一定の操業度においては、固定費はスリムなほど総費用を抑制できる可能性が高いが、一方では競争力のある製品造りや販売力に悪影響を与える虞もあるから、むやみに抑制すると、利益計画が根底から崩れることも懸念されるが、現実にはそうした矛盾を承知の上で固定費の変動費化を推進している企業も見受けられる。
もともと固定費とは、一旦意思決定をして投資や人員の採用がなされれば、操業度に関係なく発生するコスト、いわゆるキャパシティコストのことであるが、企業の実態を子細に観察すると、固定費と変動費は明確に区別することは困難である場合が多いように思われるのは何故なのだろうか。そうした疑問に応えることも計画策定の意義である。
もちろん、厳密に計算すればこれらを特定することは可能ではあるが、手間暇をかけて区分する意義は薄いといわざるを得ない。というのも、多くの企業は操業度がかなり落ちていることもあり、固定費と呼ばれるコストを削減することに頭を悩まされているからである。そうした意味ではもはや固定費ではなく変動費の性格が強いともいえる。
時系列的に企業を観察する場合は、総資本と収益のバランスを判断する材料としては参考にはなるだろうが、経営革新を志向するために経営を分析するのであれば、個別の費用が収益や利益とどのような相関関係にあるかに着目し、固定的部分を如何にしてスリムにするかを課題とするのが固定費計画策定の意義であるべきだ。
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