担当者別販売計画?その5

販売計画に限らず全ての計画を実施するのは他ならぬヒトであるから、計画達成にはヒトを燃えさせることが経営者の最も大事な仕事である。それでは、ヒトはどういう時に燃えるのだろうか。以前の記述でブルームの期待理論について説明した覚えがあるが、要は努力可能な水準と期待水準が拮抗していることである。
 このように考えれば、経営の現場において従業員を燃えさせるためには、給与を含めた期待水準を把握して、これを獲得するための努力レベルを何らかの形で刺激するのが効果的であるから、そうした仕組みをつくることがあらゆる目標達成のためには、必要不可欠であることを再確認しなければならない。
 然らばその仕組み(組織)とはどのようなものかということになるが、私は孫子の兵法を参考にした組織改革を推奨することにしている。子の文献の中で、「散地におけば兵は散り、死地におけば兵は戦う」というくだりがある。この哲学は、人間の深層心理を見事に捉えており、現代社会でも立派に通用する組織論である。
 この極意は、逃げ道を用意しておけば、従業員はピンチになるとすぐそこに逃げ込んでしまうが、死地(窮地)に追い込めば死に物狂いで現状打開のために努力する。しかも、努力をするヒトは勇気があり、逃げ込んだヒトはいくじがないというのではなく、どちらのヒトも本質的には変わりはないというものである。
 長い間ぬるま湯につかっていたメンバーを奮起させるのは容易なことではないが、さりとて、そうしたメンバーの自主性に期待するのは、百年河清を待つようなもので現実的ではない。意識的に形をつくることで形勢逆転を狙わなければ、経営革新は徒労に終わることになるので、強いリーダーシップのもとで行わなければならない。
 玉を平らな板の上に乗せると動かないが、板を傾けると玉は動き出し、やがて加速度が着いてスピードを増す。しかし、念のため申し添えておくが、これは締め付けの論理に依拠するものではないことをご理解いただきたい。これは、あくまでもメンバーの潜在力を引き出すための苦肉の策なのである。